住職継職奉告法要を勤めずに、住職が変わるなんて、信じられないとお感じの御住職、御門徒の皆様、それは貴院が、とても幸せな環境にいらっしゃることと、改めて感謝すべきことだと思います。
この徳願寺は他の多くの真宗寺院と同じように門徒数が多いとはいえない、山寺でございます。住職継職者不足が潜在的に大きな課題になっている日本の多くの寺院様と同様、規模の小さな寺院では、新住職が就任しただけでもよしとして、とても法要を実施するといった、精神的・経済的余裕が無いのではないかと拝察いたします。
まして、インターネットで「住職継職法要」といった言葉で検索しようものなら、「本山達書を別院輪番より拝受」とか「稚児行列が華やかに」とか、「記念法話、前住職の大学同級生の本山布教師○○様よりいただき」とか、鮮やかな写真とともに、立派な法要のページばかりが出てきて、ますます、「当院ではとてもできない」とのお考えが高まることでございましょう。
今回、まことに有り難い事に住職継職奉告法要を御門徒様のご努力によって、修めさせていただくことができましたことを改めて、心より、感謝いたしますとともに、そういった法要はとても我が寺院の規模ではできるわけが無いと思ってらっしゃる御住職様、御門徒様に、住職継職奉告法要をお勤めいただきますようお勧め申し上げます。
当山での法要は毎年春定例の永代経法要(連如忌)にあわせて行いました。それは、継職法要だけを別に行うと、ご参列近隣寺院様に対しても何かとご負担をおかけするということと、ご門徒様たちにも時間的、経済的な負担をかけることが考えられたからです。
「住職継職をご門徒様達と阿弥陀様に奉告すること」これが、法要の目的でありますので、形にはこだわらず行うことを気にかけた結果であります。
当日の差定は別ページを参照いただきたいのですが永代経法要と継職式・奉告法要をあわせて1時間30分ほど、御法話を入れても夕方7時にはすべて終了するという、法要でありました。
お世話係となりました門徒総代様がたは法要を無事終了させるという大変な緊張感の中で、さぞお疲れになったことと思いますが、ご参集のご門徒様ともども"ほがらかな"法要となり、心から感謝いたしております。
そして、法灯が一人住職の力だけで伝わっていくわけでなく(当たり前ですが)、ご門徒様と住職が共に手を取り合って、教えの場である当山を未来に伝えて行くという気持ちの一体感を醸成するには、最適の場であったと感じるしだいであります。
新住職を迎えられた寺院様、新住職になられたご住職様、どんなに簡略であってもよい、ぜひ継職奉告法要をお勤めなされることを、今一度、心よりお勧めします。